アオガンピは日本の沖縄島以南、台湾(蘭嶼)、フィリピン(バタン諸島)に分布する常緑の低木です。属名はスウェーデンの植物学者Johan Emanuel Wikström (1789-1856) への献名です。種形容語のretusaは「微凹形の」を意味します。本種が命名された際のラテン語の記載論文をGoogle翻訳すると、葉の先端がしばしば凹むと書かれていますので、これが由来のようです。
近畿の山で時々見られるガンピDiplomorpha sikokiana (Franch. et Sav.) Honda (リンク)の葉は互生しますがアオガンピは対生です。葉は小さく倒卵形で革質です。枝の先端に花序を付けます。花は黄緑色から黄色です。本種をはじめジンチョウゲ科のほとんどの植物は花弁がなく、4枚の花弁に見えるものは蕚片です。果実は赤色に熟し、長さ1cmほどの楕円形です。美味しそうに見えますが有毒です。樹皮の靭皮繊維は強靭で、ジンチョウゲ科のガンピやミツマタと同じように製紙原料となります。
当資料館では無加温ガラス室で栽培していますが、路地植えにもしています。冬には不織布を1枚かぶせておくと越冬することから、霜や雪などの氷が接触するととても傷み、時に枯れてしまいますが、低温そのものには比較的強いことがわかりました。実生で良く増えるので、不織布をかぶせている範囲内で群落を形成しつつあります。
参考文献
Journal of botany, British and foreign. : Free Download, Borrow, and Streaming : Internet Archive https://archive.org/details/mobot31753002397757/page/302/mode/1up