BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

ノトファグス・モオレイ(ナンキョクブナ科)

Nothofagus moorei (F.Muell.) Krasser

ノトファグス・モオレイ

ノトファグス・モオレイ、英語名Antarctic beechはオーストラリア北東部のニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州の温帯多雨林に分布する高さ30mほどになる高木です。

属名Nothofagusは「偽のブナ」という意味ですが、この奇妙な名前については当資料館でこの植物を発芽させた前担当者が以前に紹介しているのでこちらをご覧ください。

上記の記事は2003年に公開したものですので、あれから20年たって再びの登場です。樹木園に定植して高さ8mほどまで育ちましたが気が付くと、果実ができていました。

初めに気が付いたのは2023年5月1日のことです。全体写真の左下に写っているドリアンテス・エクセルサDoryanthes excelsa(白の矢印)の花茎が伸びてきたので、邪魔になる上の枝のどれを切ろうかと位置を決めていたところ、切りたい枝に雌花がついていたのでした。偶然にも他の枝には花はなくドリアンテスの邪魔になる所だけ花が着いていたのは、発見という点では幸運でしたが、近い将来に邪魔になってしまうので困りものです。その後、6月15日に雌花の先端が割れて、種子が見えてきました。つまり5月1日に見つけたものは雌花ではなく、すでに果実だったのです。

調べてみるとノトファグス・モオレイは雌雄同株異花で、雌花、雄花ともに葉腋につきます。今回見つけた果実はトゲトゲがありブナの果実(殻斗)にそっくりです。しかし中の種子は長さ5mm程度と小さく、角の縁のところには小さな翼がついています。

ノトファグス・モオレイの種子は、果実が開いた途端に風で飛び散ってしまいましたので、拾い集めて鉢に播きました。果たして発芽するのでしょうか。

このような訳で今年は初開花を見逃してしまったので、次回には花を見つけて3回目の紹介をしたいと思います。