SDGS

日本新薬 山科植物資料館×SDGs

日本新薬山科植物資料館では、2015年国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の課題解決に貢献すべく、生物多様性の保全活動を推進しています。
当資料館では、160種を超える日本薬局方収載生薬の基原植物をはじめ、キソウテンガイなど世界的にも絶滅が危惧されている希少な植物や環境省指定の絶滅危惧種を、多数保存・栽培しています。
また、地元京都の希少植物の保護活動にも参画し、フタバアオイやキクタニギクなどの保護・増殖活動にも積極的に取り組んでいます。夏休みには、小学生を対象にした藍染め体験会や一般の方向けの見学会を開催するなど、地域社会との交流を図っています。

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見学会と藍染め体験の様子

上賀茂神社へ奉納01上賀茂神社へ奉納02
上賀茂神社へ奉納
■ キクタニギク・・・2016年から毎年自生地へ植え戻す苗を
提供(2022年は48株)
■ フタバアオイ・・・2015年から毎年上賀茂神社へ奉納
2022年5月は150株を植栽、上賀茂神社へ奉納しています。
自生地の東山菊渓へ01自生地の東山菊渓へ02
自生地の東山菊渓へ
■ キクタニギク・・・自生地の東山菊渓へ苗を栽植
環境への協力 cooperation
天然記念物「アユモドキ」の生息域外保全をしています

■アユモドキはアユモドキ科の淡水魚で、かつては近畿地方や山陽地方の水系の平野部から低山地までの河川や農業用水路に広く生息していました。
しかし生息域の環境の変化のため激減し、今や世界で亀岡盆地と岡山県の2カ所しか分布していない、日本固有の淡水魚です。
1977年には国の天然記念物、2004年には種の保存法によって国内希少野生動物種に指定されています。
山科植物資料館では、環境省の保護増殖事業で近畿地方環境事務所が行っている生息域外保全に協力して、自然養育試験としてこの貴重な魚を野外でなるべく手をかけずに飼育してきました。
敷地内の池に、体長3~4㎝の稚魚20匹が、試験的に放流されました。
1回目の再捕獲で19匹を確認、2回目は14~15㎝に生育したアユモドキの成魚が15匹生存していることが確認され、街中にありながら外部からは隔離された人工池で十分生育することが確認されました。
山科植物資料館では今後も生物多様性保全活動として、このような貴重な野生動物の保全にも協力していきます。

「アユモドキ」の生息域外保全1
「アユモドキ」の生息域外保全2
「アユモドキ」の生息域外保全3
「アユモドキ」の生息域外保全4

近畿地方の国内希少野生動植物種/近畿地方環境事務所/環境省 (env.go.jp)

『世界文化遺産 醍醐寺』山林の植物調査をしています。

2021年6月に英国で開催されたG7サミットにおいて合意された「G7 2030年 自然協約(G7 2030 Nature Compact)」では、「ポスト2020生物多様性枠組」として2030年までに国土の30%以上を 自然環境エリアとして保全する30by30(30by30|環境省 (env.go.jp))目標が約束され、これまで保護されてこなかった「保護地域以外で生物多様性保全に資する地域(OECM)」(その対象は社寺林・里地里山や企業有林など)が注目されています。
そのような状況の中、京都市南部に位置する世界文化遺産である醍醐寺の寺林にも生物多様性保全の観点から注目が集まっています。

山科植物資料館では、「地元企業のもつ植物園のできる生物多様性保全に関する大きな地域貢献」の一つとして、このような地元の手つかずの自然の残る寺林の植生実態を明らかにすることが重要な社会貢献と考え、世界文化遺産・醍醐寺さまに植生調査を申し出て快諾を得、2022年4月から8回の調査を行ってきました。
その結果、2023年3月末までに、78科157種の種子植物を特定することができました。
その中には、京都府レッドデータブック2015所載種10種(絶滅寸前種1,絶滅危惧種3,準絶滅危惧種3、要注目種3)、環境省レッドリスト収載種2種(絶滅危惧Ⅱ類(VU)1,準絶滅危惧(NT)1)が含まれています。
また、アサダ(カバノキ科)の高木群やカギカズラ(アカネ科)の群落が含まれるほか、はじめてマルバノホロシ(ナス科:京都府レッドデータブックの絶滅危惧種)を確認することができました。

この度、この植生調査のもようが、京都市都市緑化協会の機関紙である「京のみどり」(発行部数7,000部)(京のみどり情報 | 京都市都市緑化協会 (kyoto-ga.jp))の106号特集「上醍醐と下醍醐の緑を歩く」の中で、紹介されました。

山科植物資料館では、今後も「絶滅危惧植物」の保全活動を通して、SDGsに貢献していきます。

『世界文化遺産 醍醐寺山林』の植物調査1
『世界文化遺産 醍醐寺山林』の植物調査2
『世界文化遺産 醍醐寺山林』の植物調査3
受賞 award
アボック・カルタ賞の受賞

■2017年、植物の学名普及の功績により、公益社団法人日本植物園協会よりアボック・カルタ賞を受賞しました。

アボック・カルタ賞受賞
日本植物園協会の岩科会長(右)

アボック・カルタ賞受賞
京都市「地域企業輝き賞」
「地域企業輝き特別賞」の受賞
■ 2019年、京都市輝く地域企業表彰」の対象に選ばれ、「地域企業輝き賞」および「地域企業輝き特別賞」を受賞しました。
この賞は2019年4月に制定された「京都市地域企業の持続的発展の推進に関する条例」に基づき、地域と共に発展する地域企業として、安心安全への貢献、文化の継承につながる活動、自然環境の保全など、地域に根差して企業活動に取り組んでいる事業者を表彰するものです。
資料館では3,000種を超える植物コレクションをベースに、日常的に見学研修会や、小学生対象の草木染体験会などを開催して植物多様性保全の啓蒙活動を行っています。
また、フタバアオイ、キクタニギクなどの京都に因む希少植物や、多くの絶滅危惧種の植栽・増殖による保全活動も実施し、文化の継承や自然環境の保全に注力しています。
地域活動では山科川の定期清掃事業にも積極的に参加して水質汚染改善にも取り組んでいます。
これらの活動が評価され、他社のモデルとなる事業者として認められて「地域企業輝き賞」を受賞、さらに独自性、社会性、継続性が特に顕著な事業であると認められ「地域企業輝き特別賞」も受賞しました。
京都市「地域企業輝き賞」「地域企業輝き特別賞」の受賞01京都市「地域企業輝き賞」「地域企業輝き特別賞」の受賞01
京都市「地域企業輝き賞」「地域企業輝き特別賞」の受賞02
設定 prize
「京の生きもの・文化協働再生プロジェクト」に認定

2019年、京都市が主催する「京の生きもの・文化協働再生プロジェクト」に登録・認定されました。本プロジェクトは京都市独自の「京都市生物多様性プラン」に従って京都の文化を支えてきた希少な動植物の保全と再生を推進するプロジェクトです。
オケラ、フジバカマ、キキョウなどの京都の文化にゆかりのある植物、加えて京都府レッドデータブックに所載の、絶滅が危惧されている植物の保全とその教育普及活動を積極的に推進していきます。
「京の生きもの・文化協働再生プロジェクト」に認定01
「京の生きもの・文化協働再生プロジェクト」に認定02