ベチベルソウはインド原産の多年草です。草丈は 2 ~ 3m あります。遠くから見るとススキのようですが、葉が細く横に広がらずに上に伸びているので、よく観察すれば違う植物であることがわかります。また、穂が出てくる時期も異なります。根をまっすぐ 3m も地中に伸ばすことから、土壌の浸食防止用に世界中で植えられています。花序 ( 穂 ) は紫色で、長さ 10 ~ 30cm になります。
根茎を薬用とし神経系、呼吸器系疾患で内服します。その他に乾燥させた根茎をマットや団扇に編み込んで芳香性の虫除けとします。根茎を水蒸気蒸留して得られる精油はベチベル油といい、これは揮発しにくいことから香料や他の香料の保留剤とされます。
ベチベルソウは頑丈な植物で京都の戸外でも十分に越冬します。しかしながら、多くの熱帯産の植物と同じように大きく育った頃には冬が来て地上部が枯れてしまい、通常花を見ることはできません。ところが昨年、初めて穂を出すまで育ちました。今年も、茎の先端から穂を見せています。近頃は秋が来るのが遅いと言われていますから、ベチベルソウも涼しくなって弱ることなく穂を出すことができたのでしょう。結局、昨年は穂が完全に出る前に冬になってしまいました。今年もおそらくこのまま冬になってしまうのでしょうが、これからも涼しくない秋や暖冬が続けばいつかは穂が完全に出てきて花が咲くのかもしれません。京都の戸外で熱帯植物が開花するのを見たいような、温暖化が進むのは自生植物の環境が変わってしまうので困るような、複雑な心境です。