この”植物こぼれ話”の項では、既にルイボスを紹介しています(この健康茶になる植物のご紹介はこちらのリンクをご覧ください)。ところが、紹介に用いた2003年当時の株は枯死してしまったため、2008年に再度種子を入手して実生から大切に育ててきました。その中で、鉢植え1本、地植え1本の2本が生き残りました。その地植えの1本で、本2010年7月最終週、発芽から2年あまりにして開花にいたりました。
わずか5~6mmほどの黄色の鮮やかな蝶形という花の形態は文献に記載のある通りで、茎葉を一見しただけではマメ科と思われない形をもつにも関わらず、花を見ると小さいながらひとめでマメ科とわかる特有の構造をしていることがわかりました。
開花の記録を探しましたが、調べる限りにおいては日本での記録は見当たらず、日本では初めての開花ではないかと思われます。
ある新聞にも紹介していただきました。このおかげで、さっそく南アフリカ出身で日本在住のルイボスのご専門の方からコンタクトがあり、見に来られました。現地でルイボスをよく観察されているこの方も、日本でルイボスの植物を、ましてやその開花を見ることが出来るとは思われなかったようで、非常に驚いておられました。
ルイボスは、南アフリカのセダルバーグ山塊付近でしか栽培できない植物で、ヨーロッパ、オーストラリア、イスラエルでも栽培を試みたがうまくいかずに断念したと聞いています。栽培地は非常に乾燥しており、昼夜温度の日較差が30度以上もあるとのことですが、本年の異常ともいえる京都の夏の猛暑が幸いしたのかもしれません。
今後もどのような環境で育っていくのか注意深く見守りたいと思っています。