ニトベギクは中央~北アメリカ原産の多年草です。頑丈な植物で茎は木質化し、低木のようになることもあります。高さは3m以上もあるので、植物園内では非常に目立ちます。大きさだけなら好条件で育ったキクイモ(Helianthus tuberosus)も同じくらいの高さになりますが、ニトベギクの方が大きな葉を持ち、花も一回り以上大きくなります。ニトベギクの名は、旧五千円札でかつてはなじみ深かった新渡戸稲造氏が初めて日本に持ち込んだことに因むとされます。
ニトベギクの葉は長さ約20cmで根本は卵形、先端は3~5裂します。花は茎の先端に数個着きます。花の形はヒマワリやキクイモに似ています。花序柄が紡錘状に膨らむところはマリーゴールド(Tagetes patula)にも似ています。舌状花は20枚前後あり、頭花の直径は約15cmです。背が高すぎるので人が立って見ていても花を観察することはできません。いざ脚立を立てて花の近くまで登ってみると汚れた花が多く、無傷の花は意外とありません。日本の初冬には木枯らしがあるので、強風に揺さぶられてすぐに花弁が傷んでしまうのでしょう。幸いにも下から見上げる限りでは、遠い分だけ汚れが目立たないので黄色い花が美しく輝くようです。
ニトベギクは中国の広西から雲南省で栽培され、葉を清熱解毒に用います。最近では、糖尿病に効果があるとの報告もなされています。