BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

ニオイシタン(マメ科)

Dalbergia odorifera T.C.Chen

ニオイシタン

ニオイシタンは中国の福建省、海南島、浙江省に分布する高さ10~15mの中高木です。和名には「シタン(紫檀)」とついていますが、いわゆる紫檀(Pterocarpus spp.)ではなく、黄檀(Dalbergia hupeana)の仲間で、中国名は「降香黄檀」です。また「黄花梨」ともいいます。この「花梨」は紫檀の別名で特に木材の分野でよく使われる呼び方です。学名の「odorifera」、和名の「ニオイ」、中国名の「降香」とあるように、材に香りがあるのが特徴です(しかし実際に栽培する限り匂いは感じられませんので、十分に大きく育ったら太い枝や根を切ってみる必要があります)。

ニオイシタンの樹皮は淡い茶色で、極く若い葉や花序および子房以外は無毛です。葉は奇数羽状複葉で長さ約20cm、小葉は9~13枚、普通のマメ類と異なり小葉は互生します。小葉は長さ5cm、幅3cmで卵形です。12月の半ばから2月の半ばまでは落葉します。

ニオイシタンの花序は、3月に伸び出した新梢の葉の脇につきます。花序は円錐花序で直径4cmくらい、一つの花は長さ5mm程度で小さいものですが、いくつかまとまって咲くので目につきます。花弁は淡黄色または乳白色です。

ニオイシタンの材は、紅褐色で堅く緻密で木目も美しいことから家具などに利用されます。中国では黄花梨(インドシタン)は、紫檀、鶏翅木(Millettia laurentiiおよびM. leucantha)、鉄刀木(タガヤサン Senna siamea)と並ぶ名木なのだそうです。根の心材は中薬で「降香」、「降真香」といい、理気し、止血し瘀血を行(めぐ)らせ、鎮痛し、吐血、喀血、打撲傷などに用います。また化膿したできもの、腫れものに外用します。生薬の「降香」にはニオイシタンの他に、インドに分布するシッソノキ(インド黄檀、D. sisso)も利用されます。