ツバキカズラは南米チリ南部の常緑樹林帯に分布する低木状のつる植物です。属名はナポレオンの妻ジョゼフィーヌの結婚前の呼称Marie Josèphe Rose Tascher de La Pagerieに因みます。現地ではスペイン人侵入以前の現地名であるコピウエ(copihue)の名で親しまれます。フィレシア科はマゼラン海峡地域に分布するPhilesia magellanica J.F.Gmel.と本種の2属2種(および両種の交配種である× Philageria veitchii Mast.)からなります。両種は広義のユリ科に含められたり、サルトリイバラ科に含められたり独立のフィレシア科となったりしましたが、現在のAPG分類体系では独立したフィレシア科が支持されます。
ツバキカズラの葉は托葉をもち革質で光沢があり、サルトリイバラの仲間のようです。花は葉腋に1から2個着き、紅色をしています。雌しべは1個、雄しべは6個で、見上げて花の中をのぞき込むと名前の通りツバキのようです。園芸種では白色や紫色、絞りがある花もあります。花被片は6枚、釣鐘状で長さ6、7cmの大きな花を付けます。果実は液果で小さな種子を多数つけます。
ツバキカズラの生息地は3~30℃くらいで、ここ京都では冬は寒すぎ、夏はやや暑すぎと過酷なのですが無事開花させることができました。当資料館では温室に隣接した無加温フレーム(最低5℃程度)で管理し、夏場は日除けをしています。日中の葉水も有効なようです。ある程度大きく生長したら地植えをすることもできるそうなので、夏は木陰になり冬は風の当たらない適当な場所を探しているところです。