BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

クレオメラ・アルボレア(フウチョウソウ科)

Cleomella arborea (Nutt.) Roalson et J.C.Hall

クレオメラ・アルボレア

クレオメラ・アルボレア(またはペリトマ・アルボレアPeritoma arborea (Nutt.) H.H.Iltis)は、北アメリカ西部のアリゾナ州、カリフォルニア州からメキシコ西部に分布する多年草です。袋状の果実をつけることから、英語でbladderpod (bladder = 膀胱、浮き袋、気泡。pod = 莢)と呼ばれます。

かつてはフウチョウソウ科Capparaceaeに分類されていました。従来のエングラーからクロンキスト分類までのフウチョウソウ科は、フウチョウソウ(Cleome gynandra L.またはGynandropsis gynandra (L.) Briq.)のような草本と、ケーパーCapparis spinosa L.(リンク)などの木本の両方を含んでいました。分子系統学的研究の結果、フウチョウソウ属Cleomeは木本のグループよりもアブラナ科に近縁であることが分かり、APG分類体系では主に草本がフウチョウソウ科Cleomaceae、主に木本がフウチョウボク科Capparaceae、その他の一部が独立してケーベルリニア科Koeberliniaceae、ペンタディプランドラ科Pentadiplandraceae、セッチェラントゥス科Setchellanthaceaeに分かれました。

(よく見ていただくと分かりますが、科の分類の変更によって、科の和名とラテン名の組み合わせが変わりました。旧分類ではフウチョウソウ科はCapparaceaeのことですが、新しいAPG分類ではフウチョウソウ科はCleomaceaeです。そして、Capparaceaeはフウチョウボク科になりました。)

フウチョウソウ科Cleomaceaeは270種ほどが含まれる大きな科ですが属の帰属はまだ確定しておらず、Plants of the World Onlineでは2属World Flora Onlineでは3属Angiosperm Phylogeny Websiteでは26属とばらばらです。本種もIsomeris → Peritoma → Cleomellaと変遷しました。フウチョウソウ科は花壇に植えられるクレオメ(セイヨウフウチョウソウ、Cleome houtteana Schltdl.またはTarenaya hassleriana (Chodat) Iltis)などの1年草が多いのですが、クレオメラ属は茎が木質化する多年草です。当資料館としては毎年種子を取って植えなおすことなく栽培できるのは便利です。

クレオメラ・アルボレアは高さ1mほどで、3裂する長さ5㎝くらいの小型の葉を付けます。若い枝葉は蝋物質に覆われていて、さらにルーペで観察すると細かな毛が生えています。クレオメラ・アルボレアは冬以外のほぼ1年中花をつけます。茎の先端に数個から10個の花からなる総状花序を付けます。花弁は黄色で4枚。5個の雄しべと1個の雌しべがあります。雌しべは先端が膨らんで果実になるところは、ケーパーに似ています。果実は長さ3㎝直径1㎝の楕円形で、5㎜程の球形の種子が6~10個入っています。しっかりした種子がつく割に中々発芽せず、個体数が増えないのは悩ましいところです。