タイワンコマツナギは東南アジア原産、一説には熱帯アフリカ原産といわれる小低木です。学名の Indigofera は「藍を有する」、 tinctoria は「染料の」で文字通りタイワンコマツナギが藍染めの原料になることを示しています。ただし、日本にはタイワンコマツナギは生えていませんでしたので、藍染めにはアイ(タデ科)やリュウキュウアイ(キツネノマゴ科)から採れる藍を用いました。また日本の山野に生えるコマツナギは、学名を Indigofera pseudo-tinctoria といって「偽のタイワンコマツナギ」を意味し、タイワンコマツナギによく似ていますが、藍の原料は採れません。 タイワンコマツナギは、常緑で高さ 2m ほどになりコマツナギよりも一回り大きく育ちます。また、コマツナギと比べ、小葉が 1.5 ~ 2 倍多く、花序が基部の葉よりも短いのが特徴です。
Indigofera 属にはタイワンコマツナギをはじめ藍原料となるものがいくつかあります。 17 ~ 19 世紀にインドや西インド諸島で大規模に栽培され、これらの地域の藍が市場を席巻していました。 20 世紀になると藍色色素のインジゴが化学合成できるようになり、こちらが主流となりました。そのため、現在ではタイワンコマツナギの栽培はほとんど行われていません。
日本では沖縄に帰化していますが、九州以北ではまだ確認されていないそうです。当資料館のタイワンコマツナギは地上部を刈り取ってトンネルで保護したところ露地で越冬できました。凍らない温暖な地域に入り込めば帰化する可能性も指摘されています。