BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

タイワンツバキ(ツバキ科)

Polyspora axillaris (Roxb. ex Ker Gawl.) Sweet

タイワンツバキ

 

タイワンツバキは中国南部、台湾、ベトナムを原産とする常緑の高木です。学名は広くGordonia axillaris (Roxb. ex Ker Gawl.) Dietr.とされていますが、当資料館ではYListやFlora of Chinaの見解に従って掲載のPolyspora axillaris (Roxb. ex Ker Gawl.) Sweetとしています。Polysporaは「poly(多)+spore(種子)」で多数の種子の入った朔果になることを、axillarisは花が腋生することを意味します。従来学名のGordoniaはイギリスの種苗商でヨーロッパへイチョウを伝えたことで知られるJames Gordonに因みます。中名は「大头茶 da tou cha (大頭茶)」です。

タイワンツバキは薄いコルク質の樹皮に覆われ、葉は楕円形で全縁または中程から先端にかけて浅い鋸歯があります。花は枝の先端に付きます。まるで花序が頂生しているように見えますが、よく見ると先端には次世代の芽があり、個々の花が枝に腋生していることがわかります。このことは前年に咲いた果実の付き方を見ればはっきりします。花は直径8cmくらいで白色です。雄しべは黄色く、雌しべが雄しべの中から顔を見せるところが特徴的です。タイワンツバキの果実は長さ2cmくらいの卵形で5裂し、中には翼のある種子が多数入っています。翼がある種子というのもツバキ科にはあまりない特徴です。

タイワンツバキは鑑賞用に栽培される他は、建築用材となります。樹皮はタンニンを含み、タンニンを精製します。また種子を絞って油を得られます。