ヒマワリヒヨドリは熱帯アメリカ原産で全世界の熱帯、亜熱帯地域に分布する多年草です。和名には「ヒヨドリ」と付いていますが、日本に自生するヒヨドリバナ(Eupatorium chinense)やフジバカマ(E. japonicum)とは異なる仲間です(同じ仲間とする見解もあり、この場合は、Eupatorium odoratumです)。中米では花や葉を咳や熱などの風邪症状に用いたり、中国では葉を殺虫、止血に用いたりします。
花は白く眉捌けのように繊細な感じで、葉も秋になると赤みが入り美しいものですが、実態はとんでもない植物です。非常に頑丈で生育旺盛なので、横倒しにしたりちぎって捨てたりしておくと、地面に付いたところから根を下ろしてさらに数を増やします。種子も大量に生産し、いたるところから生えてきます。このため、国際自然保護連合(IUCN)の「(世界の)外来侵入種ワースト100」に選ばれるほどです。
当資料館でも温室で咲いた後、暖かくなってから外へ出していたところ、たった一鉢からばらまかれた種子があちこちから発芽してきました。一時はどうなることかと思いましたが、12月にはすべて寒さで枯れてしまいました。すくなくとも京都はまだ、ヒマワリヒヨドリの侵略からは守られたようです。いずれにしても、このような繁殖力の強い植物の栽培は簡単なのはよいですが、注意が必要とされます。