ヤマコンニャクは日本の高知県、九州南部から奄美地方にかけて分布し、やや湿った常緑樹林の林床に見られます。地下の球茎を蒟蒻(こんにゃく)の原料にするコンニャク( Amorphophallus rivieri )は、この植物の仲間です。こちらは、中国南部原産で日本でも栽培されます。ヤマコンニャクも地下には、大きな扁球形の球茎がありますが、実は食用にはされません。
ヤマコンニャクは冬の間は地下ですごしますが、すっかり暖かくなった 5月頃、 1m近くまで花茎を伸ばし、花を咲かせます。当館では、ヤマコンニャクの花(写真上)は数年に一度しか咲きません。大きな花を咲かせ、力を使い果たすからでしょうか。果実は時間が経つとともに、先端から熟していき、緑から、赤、濃青色に変化していきます。そして夏も盛りの頃には、姿を消します。花を咲かせた株の葉は、花の後に地上部に姿を現します。
ヤマコンニャクを見かけることは稀で、数が少なく絶滅危惧種にも指定されています。よく似た植物に、日本の林床でよく見かける、テンナンショウの仲間( Arisaema 属)がありますが、ヤマコンニャクの葉はテンナンショウに比べ、小葉が深く切れ込み、多数の小葉片になる点が特徴です。もし、夏の山で、この色の変わるヤマコンニャクの果実を見かけたら、非常に幸運なことかもしれません