BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

ヤマモモ(ヤマモモ科)

Morella rubra Lour.

ヤマモモ

<樹皮は生薬「楊梅皮」で、打撲、解毒などの薬用とされる。>

ヤマモモMorella rubra (Myrica rubra ヤマモモ科 Myricaceae)は、初夏のころ丸い球果が赤紫色に熟し、そのままでも食べることができるほか、ジャムや果実酒などに加工できる果樹のひとつです。
関東・福井県より以西の日本を始めとして、朝鮮半島南部、中国、台湾やフィリピンなどの暖地に自生する常緑の高木で、果樹として栽培もされている。
葉は倒卵状の長楕円形を呈し硬質で、枝先に密集しています。
4月ごろに花を咲かせますが、雌雄異株の樹木で、雄性花は赤褐色を帯びており、枝先端の葉腋に2~4cmほどの尾状の花序を出してたくさんの花をつけますが、雌性花はそれより短い花序になり、数個の花がつきます。写真は、当館で開花した雌性花で、紅褐色の花弁が見えるのが特徴となっています。
果実は、たくさんの小突起のついた球果となり、6月ごろに赤紫色に熟します。
一方、乾燥させた樹皮は楊梅皮(ヨウバイヒ)という生薬となり、煎液を内服して下痢止めや打撲傷に、外用して火傷や疥癬などの皮膚病に用いることができます。
さらに樹皮は染料としても利用でき、漁網の染色など用いられています。
樹皮にはタンニン、ミリセチンやミリシトリンなどのフラボノイド、リンゴ酸、シュウ酸やクエン酸などの有機酸、アントシアンなどの成分を含むことが知られています。