BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

モウシロカイ(ワスレグサ科)

Aloe ferox Mill.

モウシロカイ

アロエの仲間は薬用植物として有名です。一般に「医者いらず」として民間薬にされるのはキダチアロエ Aloe arborescens という種類です。また、ホンアロエ Aloe vera という種類は、薬用だけではなく「アロエ入りヨーグルト」などのように食用としたり、化粧用に使用されます。

今月紹介するのは上記2種とは異なる種類、モウシロカイ(ケープアロエ)で、南アフリカ原産の幹の高さが1mにもなる大型種です。この種類は日本薬局方に収載されているアロエ末やアロエエキスの原料植物の一つです。葉は長さ50cmにもなり、青緑色で周辺部に刺がつくことから、「モウシロカイ(猛刺蘆薈)」とか「アオワニ(青鰐)」と呼ばれます。花は写真のように緋色の花を円錐状につけます。

幅が10cmにもなる肉厚の葉を切ると黄色い液汁がしたたり落ちます。この液汁を固めたものが生薬のアロエ(蘆薈)で、その中に苦味物質アロインやアロエエモジンを含みます。これを苦味健胃薬や下剤として消化不良、慢性便秘に用います。

アロエの仲間は、絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引に関する「ワシントン条約」で輸出入が制限されていて、日本に持ち込む際には許可書が必要です。