ダイエットを試みておられる方には、この植物の名前は馴染みがあると思われる。この植物の葉を含んだダイエット用食品が市場に多く出回っているからである。そして、このような食品、例えば、ギムネマ茶を飲んだ後、ケーキを食べても、おいしくなかったということを経験された方も多いと思う。
ギムネマの葉には、甘味だけを消す不思議な作用がある。この葉を、1~2分間噛んで吐き出した後、砂糖をなめたり、ステビアの葉をかんだり、塩をなめたり、レモンをかじったりして味を試してみると、驚いたことに、甘さだけが全く感じられなくなる。塩あじや酸味など他の味覚は変わらない。これは、この植物の葉に、甘味受容体だけをブロックする成分「ギムネマ酸」が含まれているためである。 ナツメの葉もギムネマの葉と同じ様な作用を示す。ナツメの葉にもギムネマ酸様の「ジジフィン」という成分が含まれているためである。
ギムネマ酸は、舌における甘味受容体をブロックするだけでなく腸管におけるブドウ糖吸収サイトをもブロックする。このことにより摂取した糖の腸管からの吸収を抑制する。このことから、ギムネマ葉は、ダイエットや、糖尿病の改善に有効であるといわれている。ナツメの葉もギムネマと同様の効果が期待されるはずである。しかし、現在のところ、ダイエット食品としては市販されていないようである。
いずれにしても、これらの葉の糖吸収抑制効果は緩和である。従って、これまでどおりの無制限に摂食するという生活を継続していたのでは目的とするダイエット効果は期待できないと思われる。
ギムネマは、中国南部、台湾、ベトナム、インドなど熱帯各地に分布する常緑のつる性植物である。この植物の茎葉や根は、インドのアユールベーダ医学で、古来、糖尿病治療薬として使用されてきたものである。中国でも、乳腺炎や外傷、腫れ物などに用いられてきた。
写真の植物体は、1987年に当館へ導入し育成してきたもので、1994年、7年ぶりに初めて開花した時のものである。
(「プランタ」研成社発行より)