BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

ヘンルーダ(ミカン科)

Ruta graveolens L.

ヘンルーダ

<ネコヨラズともいわれる強い香りをもつミカン科のハーブ>

最近、園芸店で”ネコヨラズ”として出ているのを見かけることがあります。もともと地中海沿岸原産の常緑の多年草で、葉に強い特有な香りを持っています。この香りを猫が嫌がるので、ネコヨラズ(猫寄らず)との別名があります。英名ではルー(rue)といい、欧州ではローマ時代から魔よけの植物として知られていました。葉を水蒸気蒸留したルーオイルは、石けんや洗剤、化粧料の香料として使用され、乾燥物は、止血薬、駆虫薬、てんかん薬や通経薬として用いられてきた薬用植物です。漢字では芸香と書き「うんこう」と読みます。日本には明治初期に渡来して、薬用に栽培されました。

種子でも挿木でも繁殖可能で、日当たりのよく水はけのいい土地を好むようです。
草丈は50cmから90cmほどにもなり、6月頃に1.5cmほどの黄色の花をたくさんつけます。

ミカン科の植物には香料として用いられるものが多数あり、ヘンルーダもその一つとして使用されてきました。しかし、ヘンルーダの場合、ルーオイルは皮膚刺激性が出たり、内服すると胃痛・嘔吐、意識混濁などの原因となることが知られています。また乾燥物は堕胎薬ともなるので、使用には十分な注意が必要で、特に妊娠中の人には使用厳禁とされています。このため近年では一般にはあまり用いられていません。