ブラジル東部原産の高さ10m以上、直径1mにもなる高木で、心材からブラジリンbrazilinという赤色の色素が得られます。中南米では材を得るために栽培されています。茎には刺があり、花は写真のように黄色の花序になります。
ヨーロッパでは、元々、ブラジルボクに近縁でインドからマレー半島原産のスオウCaesalpinia sappanの材より得られる赤色色素が利用されていました。この赤色色素はポルトガル語の「brasa(燃えるように赤い)」に由来する「ブラジル(brasil)」という名称で呼ばれていました。
1540年にポルトガル人が南米でスオウと同様に赤色色素(brasil)を含むこの植物を発見して以来、本種がbrazil wood(ブラジルボク)と呼ばれるようになりました。現在のブラジルという国名も、この植物名に因んでいます。つまり、ブラジルに生えていたから植物名がブラジルボクなったのではなく、ブラジルボクがたくさん生えていたので国名がブラジルになったというわけです。
材から得られる赤色色素は、染料やインキの材料になるほか、昔は薬用にされました。また、材は硬くて重く、耐久性があるため、バイオリンの弓の材料に最も良いとされます。弓材としての本種は「ペルナンブコ」の名前で知られ、この名前もブラジル東北部の州名になっています。