BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

ビワモドキ(ビワモドキ科)

Dillenia indica L.

ビワモドキ

ビワモドキはインドからマレー半島が原産で、熱帯各地に広く栽培される高さ20mほどの高木です。和名は肉厚で大きく鋸歯のある葉をビワの葉に見立てたものです。果実をゾウが食べると信じられることからゾウノリンゴelephant appleという別名もあります。属名はヨハン・ヤーコプ・ディレン(Johann Jacob Dillenius、1684-1747、ドイツ出身の植物学者、オックスフォード大学植物学教授)への献名です。

ビワモドキの花は枝の先端に1つ着きます。蕾は直径2㎝程度から2週間で直径4㎝くらいになり、開花します。花の直径は直径12~15㎝。花弁は白色で5枚。雄しべは黄色で多数、めしべは先端が15~20に分かれています。美しい花ですが1日花です。当資料館で2020年8月24日朝に開花を確認した時は、午後2時頃には花弁が徐々に褐色になり、4時半ころには落ちてしまいました。ビワモドキの果実は直径10㎝ほどです。蕚が肥厚し多肉質となります。その中に真の果実があり、食用となります。また、根、樹皮、果実は薬用として収斂、解毒、鎮咳作用がありマラリアや咳嗽に用いられます。

当資料館のビワモドキはなかなか開花せず、環状剥皮を行って二度目の開花です。前回の環状剥皮による開花では誰も知らぬ間に花が落ちていたので、開花を確認したのは今回が初めてです。今のところ途中で落ちてしまい結実は確認できていませんが、成熟したらどういう果実になるのか観察するのが楽しみです。
落下した花の断面

(追記)2021年7月30日に果実が落ちたので、よもやま話(リンク)に掲載しました。