BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

ストロファンツス・コンベ(キョウチクトウ科)

Strophanthus kombe Oliv.

ストロファンツス・コンベ

ストロファンツス・コンベはアフリカ南東部の熱帯雨林に分布するつる性の大形木本です。種形容語「kombe」は、マラウイに住むマンガンジャ族 (Mang’anja) の矢毒の呼称「Kombi」に由来します。ストロファンツスの種子から作られる矢毒は、血管から吸収されると速やかに作用するため、獲物をすぐに仕留めることができます。また、経口では毒性を示さないため、矢毒に汚染された肉を食べても問題ないということです。

ストロファンツス・コンベの茎、葉は淡褐色の剛毛に覆われています。葉は対生し長さ7~10cm、幅4~6cmの楕円形です。花序は、長く伸びたつるから分岐した短い枝の先端に着きます。花序の総苞や萼も疎毛に覆われます。筒状の花冠は先端が長く伸び長さ10~15cmほどになります。花冠の外周部は始め白く、徐々に黄色に変わります。花冠の中心部は直径2cmくらいで黄色地に赤い模様があります。

矢毒として利用されるストロファンツス・コンベの有毒成分は、K-ストロファンチンといい、心収縮力増強剤としてうっ血性心不全の治療に用いられます。かつてはストロファンツス・グラツス (Strophanthus gratus) から得られるG-ストロファンチンと共に日本薬局方に収載されていました。

ところで、ストロファンツス・コンベとよく似た植物に、アフリカ中央部に分布するストロファンツス・ヒスピドゥス (Strophanthus hispidus) があります。これも種形容語hispidus (剛毛のある) が示すように全体が毛に覆われています。当資料館にある「Flora of Tropical Africa (熱帯アフリカ植物誌)」によると、花冠の筒状部に比べて萼が同じか短いのがコンベで、長いのがヒスピドゥスなのだそうです。ということは、当館で栽培のものはヒスピドゥスではないかとも考えていますが、今のところはよくわかりません。その他にも両者を区別できる特徴をご存じの方は、「お問い合わせ」フォームからご一報いただけますと幸いです。