BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

クソニンジン(キク科)

Artemisia annua L.

クソニンジン


<マラリアの特効薬のとれる一年生の野草>

口に出すことが憚られるような和名がついていますが、これは全草に特有な悪臭があることと、葉がニンジンの葉に似ていることから、名前がつけられたと言われています。実際に葉をもんでみるとかなりな特異な香りがしますが、テルペン系のような強烈な香りで、和名のような悪臭ではないように感じるのは筆者だけでしょうか?

本州から九州にかけて、道ばたや荒地に普通に見られる1年草のキク科草本植物ですが、アジア・ヨーロッパにも広く分布しており、日本には中国から帰化したと言われています。

草丈は2m近くにもなり、葉は緑が濃く、よく分枝し互生して三回羽状に分裂します。晩夏から初秋に黄色い小さな頭状花を穂状につけ、大きな円錐状になります。

香りのもととなる精油が0.3%ほど含まれ、精油中には、アルテミシアケトン、アルテミシアアルコール、カリオフィレン、シネオール、ピネン、カンフェン等の成分が含まれることが知られています。

中国では黄花蒿あるいは青蒿とよんで、全草を解熱薬として、結核性の熱や慢性の間歇熱、黄疸、神経性熱病などの慢性熱病に用いられてきました。また、外用して寄生性の皮膚病にも用いられます。

近年、この植物から新たに坑マラリア活性を持つアルテミシニンと言われるセスキテルペンラクトンに分類される化合物が見つけられ、その誘導体がキニーネ耐性のマラリアにも有効であることが知られて、マラリアの特効薬として西アフリカなどの地域で使用されています。

天然素材である植物から開発された単一化合物の薬剤として注目されています。

[※2015年のノーベル医学・生理学賞では、イベルメクチンの大村智氏、ウィリアム・キャンベル氏とともに、本植物からアルテミシニンを発見した屠 呦呦トゥ・ヨウヨウ氏が受賞され、再び注目を集めました]