BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

クネオルム・トリコッコン(ミカン科)

Cneorum tricoccon L.

クネオルム・トリコッコン

クネオルム・トリコッコンは南ヨーロッパの地中海沿岸に分布する小型の木本です。クネオルム科はCneorum属だけからなり、ミカン科、ニガキ科、ハマビシ科に近縁といわれています。属名のCneorumはギリシア語の「kneoron」のことで、これは「オリーブに似た苦い葉を持つ低木」という意味です。Cneorum属は、C. tricocconの他にはカナリア諸島に分布するC. pulverulentumとキューバに分布するC. trimerumの合計3種が知られています。

クネオルム・トリコッコンの葉はオリーブのような楕円形をして小型です。花は黄色で、花弁は3枚、雄しべは3個、雌しべの先端(柱頭)は3裂と、3 づくしです。時には花弁が4枚になることもあります。果実は熟すと赤褐色になります。これもやはり、3つの塊(石果)に分かれます。種形容語の「tricoccon」というのは、この果実が3つに分かれていることを指します。石果の中には1、2個の種子が入っています。

毎回「今月の花」を作成するのは掲載の半月前ですので、今回はちょうどクリスマスのシーズンにあたります。緑の艶やかな葉と黄色の花と赤い果実はまるでクリスマス飾りのようで、新しい鑑賞植物になるのではないかと思いました。ヨーロッパでは栽培されるのですが、花が小さいせいかあまり人気はないそうです。