BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

オオムギ(イネ科)

Hordeum vulgare L.

オオムギ

オオムギはコムギ、イネとならんでよく栽培される作物の一つです。原産は西アジアだといわれます。紀元前7000年頃のイランの遺跡でオオムギが発見されたことから、当時には既に栽培されていたと考えられています。日本には、3世紀頃に朝鮮から伝搬したとされます。日本では主に麦飯、麦芽(水飴、醸造、みそ、醤油など)、飼料として利用されています。

オオムギの花は、多くのイネ科の花と同じように慎ましく咲きます。ぱっと見ただけでは、雄しべが護頴(将来、籾殻になる部分)のすき間から飛び出しているだけです。棒状の雄しべの先端には穴が空いていて、花粉が出てきます。雌しべは護頴に包まれていて姿を見せません。

オオムギは小穂(麦の一粒)が3個ずつ1組になっており、1組ずつが向かい合わせになっているので穂全体では6角柱のように見えます。このため、別名を「六条オオムギ」とも言います。一方、ビールや麦茶の原料にされるヤバネオオムギ(Hordeum distichon L.)は、1組3個の小穂のうち両側の2つは退化して中央の1つだけになっているので、穂全体では2列になり「二条オオムギ」と呼ばれます。栽培の歴史としては、ヤバネオオムギの方が古く、オオムギはヤバネオオムギと別の野生種が交雑して生じたとされます。