BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

オオボウシバナ(ツユクサ科)

Commelina communis L. var. hortensis Makino

オオボウシバナ

オオボウシバナはアオバナ(青花)とも呼ばれ、日本特産の染料植物として滋賀県草津市近辺でのみ栽培されてきました。ツユクサ(帽子花:花を包む包葉の形が帽子に似る)の栽培変種とされ、植物体や花が大きいことから「大帽子花」であるといわれています。ツユクサ(径1cm)より花弁(径4cm)が大きく、目立ちます。花が大きいだけではなく、植物体が直立する、種子が大きいことなどでツユクサとは異なり、栽培植物としての特徴を持っています。

夏に美しい大輪の青花を咲かせますが、早朝から昼前までしか咲いていない一日花です。そのため朝から花弁を収穫し、青い汁を搾ります。この青い汁をコウゾから作った和紙にしみ込ませ、友禅染や絞り染めの下絵の絵の具にする青花紙を作ります。花弁に含まれる青色色素はコンメリンというアントシアニン系の色素で、水洗により除去できるため手描友禅の下絵描きに利用されます。

現在でも草津市近辺で青花紙生産のために栽培される他、夏枯れの庭に彩りを添える観賞植物としても栽植されます。

オオボウシバナはツユクサから栽培化されたと考えられています。ツユクサは変異が大きく、白花のシロバナツユクサ、花に白い覆輪がはいるメガネツユクサなどの他、葉の斑入りなどがあります。写真のツユクサは二枚の花弁の花色が違う「染分け」という変異です。