プエラリア・ミリフィカはタイ北部に分布するつる性の多年草です。マレー半島に広く分布するプエラリア・キャンドレイの変種Pueraria candollei Benth. var. mirifica (Airy Shaw et Suvat.) Niyomdhamとする見解もありましたが、現在は再び独立種のプエラリア・ミリフィカとするようです。
属名からわかるようにクズPueraria lobata (Willd.) Ohwiの仲間です。つるや葉の質感はクズに似ており、つるの古い部分は木質化し、若いつるは毛が生えています。葉もクズに似た3小葉で毛におおわれています。プエラリア・ミリフィカはクズの太い根とは異なる塊状の根(塊根)を形成します。
プエラリア・ミリフィカの花は原産地では乾季に当たる1~2月に開花します。筆者は花期もクズと同じで葉が出ている夏だと思っていたので、葉が落ちた冬に突然蕾が出現したことには驚きました。プエラリア・ミリフィカの花序は古い茎の葉腋から出ます。多数の花を付ける穂状花序で、1節に3から5個の花を出します。1つの花は直径2㎝くらいで、淡い赤紫ないしは青紫色をしており、旗弁中央の淡い黄色の斑点と合わせて大変美しいものです。
プエラリア・ミリフィカはタイの名前をガウクルア(ガオクルア)といい、塊根は俗に、「豊胸作用がある」、「美容効果がある」とされ、サプリメントとして販売されています。一方で多数の健康被害が報告されたことから、2020年には食品衛生法の「指定成分等」として厳しく管理されることになりました。ガウクルアの利用を希望される方は下記参考文献などの公的機関の情報を参照し、十分に検討したうえで利用することが望まれます。
参考文献
「健康食品」の安全性・有効性情報 (素材情報データベースから「プエラリア・ミリフィカ、ガウクルア」の項目) https://www.nibiohn.go.jp/eiken/info/hf2.html
プエラリア・ミリフィカ – 「 健康食品 」の安全性・有効性情報 (nibiohn.go.jp) https://hfnet.nibiohn.go.jp/column/detail673/