BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

フキタンポポ(キク科)

Tussilago farfara L.

フキタンポポ

<花蕾は生薬「款冬花(カントウカ)」となり、咳止めとして利用する。>

フキタンポポ(Tussilago farfara )は、キク科の多年草で、北アフリカからヨーロッパ、ユーラシア大陸にかけて広範囲に分布しています。
フキに似た葉を持っており、タンポポの花に似た花を咲かせることから、この和名がついたと言われています。
草丈は10~50cmほどで地下部には葡匐する長い根茎をもっています。晩冬から早春にかけて、5~10cmの花茎を伸ばし、写真のような径3cmほどの黄色いタンポポの花のような頭花をつけます。葉は、長い柄を持つ卵形あるいは心臓形ですが、花が終わった後に現われます。
花蕾がまだ地中にあるうちに掘り上げて乾燥したものが、款冬花(カントウカ)と呼ばれる生薬となり、鎮咳・去痰・利尿剤として使用されます。葉も款冬葉として同じ様な用途として利用されますが、ヨーロッパでも葉をファルファラ葉と呼び、気管支カタルなどの咳止めに用いることが知られています。属名のラテン語は「咳を治す」と言う意味だそうで、ヨーロッパでは主に葉が、中国では花蕾が使われてきました。
カントウカの成分としては、花蕾にファラジオールなどのステロール類、ルチン、カロチノイドのタラキサンチンなどが、葉には苦味配糖体、没食子酸、ステロール類が知られています。
日本ではふるくから「款冬花」の基原植物としてフキが当てられて、フキノトウの乾燥物が「和款冬花」として使用されてきました。
フキタンポポは、明治中期に日本に渡来したとされていますが、1970年代ごろから盛んに栽培され、冬の鉢ものとして鑑賞用にもされています。