BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

セイヨウニンジンボク(クマツヅラ科)

Vitex agnus-castus L.

セイヨウニンジンボク

<どうして『西洋人参木』という名前? セイヨウニンジンボク >

セイヨウニンジンボク(別名:イタリアニンジンボク)は高さ 3 ~ 6 m の落葉低木で、南ヨーロッパから西アジアに分布しています。この木は株全体に香気があり、夏の終わりになると、淡紫色の見事な円錐花序の花を咲かせます。日本には明治中期に渡来しました。

セイヨウニンジンボクの乾燥した果実は、薬用にしたり、コショウの代用に用いられたこともありました。現在では、健康食品やハーブティーに利用され、世界各地で栽培されています。古くから民間療法として、月経不順や不妊などに用いられてきました。この植物の成分が性ホルモンの分泌に作用するといわれています。

さて、この植物、なぜ「セイヨウニンジンボク(西洋人参木)」という名がついたのでしょうか?実は、中国原産のニンジンボク( Vitex cannabifolia )という植物が、薬用人参あるいは朝鮮人参として有名な、オタネニンジン( Panax ginseng 、ウコギ科)の葉と似ていることから、その名が付いたことが関係します。ニンジンボクの葉とオタネニンジンの葉と比べると、ともに 5 枚の小葉をもつ、掌状複葉です。このため、セイヨウニンジンボクは西洋に分布するニンジンボクの同属ということで、一見オタネニンジンとは全く似ていませんが、この名前がつきました。

ちなみに、セイヨウニンジンボクは英名で Chaste tree (清純な木)といいます。昔、修道士が性欲を抑えるために、この植物の実を香辛料として利用したといわれています。種小名の agnus-castus も純白を意味し、実際に純白の花を咲かせる系統もあります。また、この木で作った杖を使うと旅人を守ってくれるといわれており、南ヨーロッパの巡礼者が用います。セイヨウニンジンボクは、南ヨーロッパでは昔からいろいろといわれのある身近な植物です。
ニンジンボクの葉
オタネニンジン