BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

コショウボク(ウルシ科)

Schinus molle L.

コショウボク

<「南米原産の赤いコショウ コショウボク」>

黒コショウ、白コショウといえば、コショウ科のコショウ(Piper nigrum)の果実です。前者は熟する前の果実を乾燥したもの、後者は熟した果実を水につけた後、外皮(果皮と果肉)を取り除いたものです。ところが、ピンクペッパーとよばれている赤いコショウは、コショウの果実ではなく、シヌス(Schinus)とよばれるウルシ科のコショウボクの果実、あるいはロワン(Rowan)とよばれるバラ科のセイヨウナナカマドの果実です。

コショウボクは南米ペルーのアンデス地方原産の常緑高木です。15-41枚の小葉をもつ複葉のついた枝を、垂れ気味に広げ、黄白色の円錐花序をつけます。街路樹にも利用されており、世界中の熱帯・亜熱帯で広く栽植されています。

芳香のあるコショウボクの果実は、コショウの果実に比べると辛味が少なく、むしろ料理の彩りを楽しむために利用するようです。メキシコでは果実を飲料に使用したり、種子をコーヒーの混ぜ物にします。また、この樹からは白色の樹脂がとれ、薬用にしたり、ゴムをとってチューインガムに使います。

コショウボクは熱帯原産ですが、京都でも野外で冬越したので、当館では野外で栽植しています。標高の高いアンデス原産のためなのか、耐寒性がある程度あるようです。