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<「除虫菊が学名の由来になった アナキクルス・ピレスルム」>
アナキクルス・ピレスルムは園芸花卉として、アナキクルスあるいはイワコマギクという名で出回っています。地中海原産の植物で、匍匐性があり、4月から5月にかけて白い花を咲かせるので、庭のグランドカバーとしても最適です。白い花びらの裏側が紫色なのも、この植物の特徴です。
アナキクルスの種形容語のpyrethrumはpyr(火)とanthroos(むらがった)に由来し、根が燃えるような強いにおいのするといわれる除虫菊を示します。除虫菊は和名をシロバナムシヨケギク(Pyrethrum cinerariifolium)といい、属名がPyrethrumです。除虫菊は殺虫剤に利用されるピレスロイドの一種のピレトリン(pyrethrine)を含み、蚊取り線香に使用するため、かつては大量に栽培されました。アナキクルスもまた、ピレトリンを含んでいます。確かにこの植物は、当館で栽培している様子を見ても、ほとんど虫がつきません。
アナキクルスは薬用植物としても知られています。この植物は、英名でペリトリー(Pellitory)とよばれ、根は煎じてうがい薬や強壮薬に用います。アフリカ北部のアルジェリアでは、秋に根を収穫するために栽培もされています。