BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

アッサムチャ(ツバキ科)

Camellia sinensis (L.) Kuntze var. assamica (J.W.Mast.) Kitam.

アッサムチャ

<「ヨーロッパに紅茶を広めたお茶の木  アッサムチャ」>

われわれが普段飲んでいる緑茶は、ツバキ科のチャノキ( Camellia sinensis )の葉から作ります。このチャノキには、基準変種の var. sinensis (チャノキ)と、 var. assamica (アッサムチャ)の2つの変種があります。チャノキは日本の茶畑に見られるように、1 m ほどの低木ですが、アッサムチャは 8 ~ 10 m の高木で、葉も大型です。チャはもともと中国南西部が原産といわれ、南や東に分布を広げる過程で、このような 2 つの変種に分かれたと考えられています。南へ進出したアッサムチャは耐寒性が弱く、亜熱帯や熱帯地方で栽培されます。

チャノキの葉から作る緑茶を飲む習慣は、 5 世紀ごろに中国に始まり、日本には奈良時代に伝わったといわれています。ヨーロッパには 16 世紀末にこの習慣が伝わり、オランダによって輸入されました。

イギリスは独自に茶を輸入するために、 1820 年代にインドのアッサム州で発見されたアッサムチャを、インドの北東部や南部丘陵地帯で栽培するようになりました。アッサムチャの葉はチャノキに比べてタンニン含量が多く、酸化酵素が強いため、主に紅茶に適しています。この紅茶がヨーロッパに伝わると、しだいに紅茶の人気が高まり、すでに普及していたコーヒーをしのぐようになりました。スリランカでは今まであったコーヒー園が、茶園に変わったというほどでした。
アッサムチャ (左) と チャノキの枝 (右)