BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

アキノワスレグサ(ワスレグサ科)

Hemerocallis fulva L. var. sempervirens (Araki) M.Hotta

アキノワスレグサ

<眠れないときによいとされる沖縄野菜 アキノワスレグサ>

アキノワスレグサは中国原産で、日本では近畿以西の温暖な地域に見られます。この植物の仲間であるキスゲ属は、夏に花を咲かせる種が多いのですが、アキノワスレグサは最も遅く、秋に花を咲かせるので、この和名がつきました。キスゲ属はワスレグサ属とよばれることもあります。

キスゲの仲間は東アジア原産ですが、欧米に持ち込まれて品種改良が行われ、多くの園芸品種が生み出されました。ひとつの花は1日しか咲かないので、英名では「 1 日ユリ( day lily )」と呼ばれています。属名はギリシャ語の 1 日( hemera )と美しい( kallos )を合成したものです。また、キスゲ属の花や若葉は食用にされ、一般に萱草(かんぞう)とよばれているヤブカンゾウなどの若芽は、山菜としても知られています。

沖縄ではアキノワスレグサをクワンソウとよんでいて、食材として花(蕾)や葉、根を利用し、お浸しや味噌汁などに利用してきました。今でも沖縄で栽培されており、市場で売られています。アキノワスレグサは睡眠改善の効果があるとして、伝承的に不眠症などに用いてきました。最近では沖縄の特産品として、健康茶などに加工され、販売されています。

当館では 8 月が終わろうとする頃、アキノワスレグサが咲き始めます。この花が咲くと残暑厳しい中にも、秋が近づいていることが感じられます。