ホザキナナカマド(Sorbaria sorbifolia (L.) A.Braun var. stellipila Maxim.)は、北海道や下北半島に自生し、夏季に真っ白い美しい穂先のような円錐花序を出すので観賞用としても美しい植物です。バラ科ホザキナナカマド属(Sorbaria)にはほぼ10種類が知られ、アジアと北アメリカに分布していますが、日本にはこのホザキナナカマド1種だけが自生しています。
北海道ではごく普通に見られる樹高2~3m程度になる落葉低木で、長さ15~30cmになる大きな奇数羽状複葉を持っています。小葉は11から23枚ほどで、それぞれの小葉は長さ4~10cmほどの細長い楕円形で先が尖り、縁には鋭い重鋸歯がついています。
6月から8月に写真のように長さ10~30cmにもなる円錐形の花序を出し、直径1cm足らずの白い花をたくさんつけるので、とても美しく華やかに見えます。5枚の花弁を持ちますが、雄しべが花弁の2倍の長さにもなるのが特徴で、全体としてふわりとした感じに見えます。
果実は袋果で密毛があり秋には赤褐色に熟しますが、割れて5個に開裂します。葉の形がナナカマドに似ていることから名が付いたとされますが、ナナカマドの果実は開裂しません。
日本北部ばかりでなく、中国北東部、シベリア、ウラル地方にも分布しており、中国では珍珠梅、とくに星花珍珠梅と呼ばれますが、茎の皮をはいで薬用とすることが知られています。腫れを消し鎮痛作用があるとされて、骨折や打撲傷に粉末にしてお湯に溶いて服用したり、粉末を練って患部に塗布したりするそうです。