<果肉はライチとして生食する。中国では外果皮、種子、根は薬用とする。>
近年は流通の発達で、以前は見られなかった果実も青果店では多く見られるようになり、リュウガン、レイシ、ランブータンなどのムクロジ科果樹の果実もままみることが出来るようになりました。なかでも、ライチとも呼ばれるレイシ(茘枝)(Litcihi chinensis)の果実は、白く甘いプルプルしたゼリー状の食感で親しまれています。
漢代以降に珍重されて来た滋養・強壮効果に富んだ果物で、中国の唐時代には玄宗皇帝が楊貴妃のためにわざわざ産地の広東から首都長安まで騎馬で運ばせた故事でとみに有名です。
中国の広東、広西、雲南、福建などの地方に分布する常緑の高木で、10mを超えることもあります。中国、台湾、アジア亜熱帯区では栽培もされ、日本でも九州で栽培されることがあります。
葉は互生して、2から5対の偶数羽状複葉となり、小葉は長さ6から15cm、幅2から4cmほどの披針形で、先は尖っていて周囲に鋸歯はなく、革質で深い緑色をしています。
2月から4月に枝先に円錐花序を作り、淡黄色の小さな花を多数つけます。結実すると、径2から3cmほどの球形の果実ができ、夏には紅く熟します。果実の表面には亀甲状の小さな隆起が多くできごつごつした感じになります。この外果皮を破ると、中から白く半透明のゼリー状の果肉が出てきて、この部分を食べます。この部分は仮種皮にあたります。中には1個あるいは2個の黒い種子を含んでいます。
生食ばかりでなく、中国では薬用として、外果皮(茘枝殻)、種子(茘枝核)や根(茘枝根)を利用することが知られています。茘枝殻は子宮出血、下痢、湿疹に、茘枝核は収れん、鎮痛、消炎に、茘枝根は胃痛、腹痛、遺精などに用いられます。