ピタヤは中央アメリカ原産で熱帯各地で広く栽培される大型のサボテンです。本種は初め、中国で記載されたといいます。属名は「hylo (森林)」+「cereus (柱サボテン)」で自生地が森林地帯であることに因みます。因みにハシラサボテン属Cereusは、ラテン語で「蝋質の」という意味で、幼植物を蝋燭にたとえたものです。種形容語undatusは「波動した、鈍波形の」の意味で、茎節の縁が波打つことによります。
ピタヤの茎節は断面が三角形で、本種を含む数種を総称してサンカクチュウ(三角柱)と呼びます。三角柱の稜の部分には短枝に由来する刺座(しざ)があり、刺座と刺座のあいだは膨らんでいることから、稜全体が波打っているように見えます。茎節は他のものに寄りかかるように伸び、所々から気根を出しながらよじのぼっていきます。
ピタヤの花は刺座の部分につきます。直径30cmほどの巨大な花ですが、わずか一晩しか開きません。花筒には肉質で鱗片状の苞葉があります。この苞葉が本属の特徴です。結実すると花筒が膨らみ赤くなります。中には白い果肉と芥子粒くらいの黒い種子が入っています。この果実は「ピタヤ」または「ドラゴンフルーツ」と呼ばれて、最近ではスーパーマーケットで手軽に入手できるようになりました。
ピタヤの果実は食用になるほかに、乾かした花は中国でスープに用いられます。また中国では花を少し蒸してから干したものを「剣花」と呼んで薬用とします。清熱、肺を潤す、止咳の効果があり、肺結核や気管支炎、耳下腺炎に用いられます。