バンウコンはインド原産の多年草で、東南アジアからマレーシアにかけて広く栽培されています。草丈は10 cmほどで、地に這うように長さ7~12cmの葉が出ます。白い花は朝のうちだけ咲き、午後には萎んでしまいます。生育地では乾季になると、地上部が枯れます。
バンウコンは全体にショウガに似た芳香と辛味があり、東南アジアでは根茎を調味料として利用したり、カレーの香辛料として利用します。また、葉をサラダのようにして食べることもあります。
バンウコンの根茎は薬用としても用いられています。生薬名で「山奈(さんな)」とよばれ、日本へは江戸時代に渡来しました。当時は芳香性健胃薬などに利用されたようです。しかしながら、当時の人はこの生薬・山奈の基原の植物を間違え、同じインド原産のHedychium spicatumという植物にサンナという和名をつけました。生薬「山奈」の起源植物はバンウコン(Kaempferia galanga)であり、和名でサンナとよばれる植物(Hedychium spicatum)ではありません。
このサンナと名づけられたHedychium spicatumの姿は、バンウコンとはまったく異なり、成長すると草丈が1mにもなります。この植物の根茎も、薬用として利用され、生薬名を「草果薬」といいます。