ナンバンコマツナギは熱帯アメリカが原産で、中国南部、台湾、日本の南西諸島をはじめ熱帯、亜熱帯アジアで栽培される小低木です。ここ山科では春に種子を播き、秋には種子を取って栽培を終える一年草扱いです。以前紹介したタイワンコマツナギ (リンク)と似た姿をしています。
ナンバンコマツナギとタイワンコマツナギを比べると、ナンバンコマツナギの方が小葉の先端が丸くやや小さい、両種の花はコーラルピンクだがナンバンコマツナギの方がオレンジ色が強い、タイワンコマツナギの莢果はまっすぐなのに対してナンバンコマツナギの莢果は湾曲している、などの違いがあります。
ナンバンコマツナギもタイワンコマツナギと同様に染料の藍(インジゴ)を取るために栽培されます。日本で栽培されるアイ(タデアイ)の葉の藍は、「蒅(すくも)」という発酵後に乾燥させた腐葉土のような形で保存します。一方、ナンバンコマツナギやタイワンコマツナギは「沈殿藍」と呼ばれる、葉の成分を水中に溶出させたのち、石灰などのアルカリで藍を沈殿させて乾燥固化した形で保存します。いずれも、乾燥した植物そのままではかさばるので藍を濃縮して保存するための工夫です。
2年前の2019年にナンバンコマツナギの葉を集めて沈殿藍を作成してみました。747gの葉を水に浸けた1日後の液体に水酸化ナトリウム23gを加えて藍を沈殿させました。その後上澄みを除きながら徐々に乾燥させて、最終的には10gの沈殿藍が得られました。