学名の属名をローマ字読みすると‘タデハギ’です。すなわち和名がそのまま属名になっている珍しい植物です。しかし、何故タデハギという和名が付けられたのでしょうか。タデはタデ科でハギはマメ科です。すなわちタデに似たハギという意味です。私自身初めて見た時、タデ科の植物と思いました。ではどこが似ているかというと、葉身の形と托葉 ( 注 ) の存在です。葉身はマメ科のなかでは、めったに見られない 1 小葉でタデ類に、よく似ています。また、タデ科植物の多くが托葉をもつことから、タデ科と思ってしまったのです。もう一つ面白いことは、この植物の葉柄に翼があることです。そのため葉身が途中で凹んでいるように見えることです。
野生のタデハギは、日本では琉球の石垣島でしか見られませんが、台湾以南の多くの国に分布しています。ただし、沖縄版レッドデータブックに危急種として掲載されているので、石垣島でもなかなか見ることができないかもしれません。中国では地上部を日干しにして精製したものを生薬名で葫蘆茶 ( コロチャ ) 、地下部を葫蘆茶根 ( コロチャコン ) と呼び薬用として使用されています。この珍しくも面白い植物を見学に、ぜひ山科植物資料館においで下さい。
(注)托葉とは葉の基部付近の茎上または葉柄上に生ずる。葉身以外の葉的な器官(清水建美著:植物用語事典より引用)