インドグスは中国南部からマレーシアに分布する高木です。新葉が紅色に染まり、温室の中では花が無くても比較的目立つ樹木の一つです。
インドグスの花序は穂状で下から開花します。花の直径は1cmほどで、花被片は6枚ありうっすらと毛が生えています。雄しべは9つで、6つの雄しべは葯を内に向け、3つの雄しべは葯を外に向けます。開いたばかりの時は、内向き雄しべのうち3つと外向き雄しべ3つの3組は向かい合っています。拡大写真では、3つの内向き雄しべは葯を見せているのに対して、残り6つの内向き雄しべと外向き雄しべは向かい合わせに重なって3組になり、雄しべの葯は見えません。重なっていた外向きの3つの雄しべはやがて立ち上がり、中心の雌しべを取り囲みます。地味な花ですが、拡大してみると意外ときれいなものです。日本のクスノキ(Cinnamomum camphora)も基本的な花の形は同じですから、虫眼鏡で拡大して眺めるのもおもしろいものです。
アップルパイの香り付けやカプチーノに使われるシナモンの原料としては数種が知られています。代表的なのは、インド、セイロン島、マレーシアに分布するセイロンニッケイ(Cinnamomum verum)と、このインドグス(C.burmannii)です。どちらも日本のクスノキによく似た三本の主脈が走った葉をつける高木ですが、温室の木を比べたところセイロンニッケイの方が葉が幅広く、インドグスの方が花が大きいようです。また、セイロンニッケイの花は茎の先端につきますが、インドグスの花は先端に近い葉の脇につきます。
セイロンニッケイの花