マカは南米のペルーやボリビア高地の標高4000~5000mに分布する多年草です。この分布域では高山植物ということになりますから栽培は困難に思えます。ところが、幼植物は暑さに強いので夏の終わりに播種して秋から冬に育成し初夏までに開花、採種することで、ここ京都でも栽培ができます。しかし大きく育った個体は夏の暑さに負けて枯れてしまうので、1年草扱いとなります。10年ほど前から海外の種子会社が扱うようになり、最近では国内の種苗メーカーからも入手できるようになりました。属名Lepidiumはギリシア語のlepidion(小さな鱗片)に由来し、この属の果序の形に因みます。種形容語はドイツの分類学者Ernst Heinrich Friedrich Meyer(1791-1858)に因みます。
マカは草丈12~20cmで、極小形のカブのような姿をしています。根生葉は深い鋸歯があり、触ると特異な匂いがします。この匂いは、同属で日本では外来雑草となっているカラクサナズナ(Lepidium didymum L.)と同じです。5月の初め頃から抽薹して花を咲かせます。マカの花はアブラナ科らしく4枚の花弁、4つの雄しべ、1つの雌しべを備えますが、小さい上に多数固まっているのでわかりにくいものです。自家受粉をし、下の花から順に結実します。1つの果実は菱形をしていて、これらが多数集まるので属名のような鱗片状となります。
マカの根は直径3、4cmほどに育ちます。いくつかの品種が分化しており、根の表面が黄色、赤色、黒色、黄色と黒の中間で金色のような光沢を持つものなどが知られています。野菜として食用、加熱調理や、乾燥保存して利用されます。いちど電子レンジで加熱して試食したところ、ジャガイモのような食感で悪い風味ではありませんでした。主要成分としてアルカロイドのレピリジンA、Bやマカリジン、アミド誘導体のマカミドA、N-ベンジル-9-オキソ-12,15-オクタデカジエナミドなどが知られています。俗に強壮効果があるとされ、人への効果を示す論文もいくつか報告されていますが、まだまだ情報が少なくさらなる評価が必要です。
市場のマカ (2007年ペルー、リマで撮影)
マカと同じ匂いのするカラクサナズナ