BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

パラミツ(クワ科)

Artocarpus heterophyllus Lam.

パラミツ

パラミツ(波羅密)という名称よりは英名の「ジャックフルーツ(Jackfruit)」の方が有名かもしれません。デンプンを含む果実を食用とするパンノキ(Artocarpus altilis)と同じ仲間で、果実が球形であるパンノキに対して、パラミツは果実が長楕円形であることから「ナガミパンノキ」とよばれることもあります。

インド原産の常緑高木で、長さ50から70cm、重さ40kgにもなる巨大な果実を利用するため広く世界中の熱帯地域で栽培されています。東南アジア諸国でも重要な果実になっていて、マーケットなどでもよく見かけますし、仏教寺院にしばしば栽植されていますのでその巨大な果実が幹からぶら下がっている光景を目にする機会もあります。

花は小さな花が密集して写真のような棍棒状の花序となり、多肉質で一見すると果実のように見えます。花は非常に小さな単性花で、雄花が集まった雄花序と雌花が集まった雌花序が同じ木に付きます。雄花序は大きな枝からでる小枝に数個付き、花序の表面を見ると小さな花に小さな葯(花粉の袋)があることがわかります。雌花序は幹からでた短い枝先に付き、雄花序より少し小さく棍棒状です。雄花序と似ていますが、表面をよく観察すると雌しべの先の柱頭がびっしり並んでいることがわかります。

パラミツの果実は世界の果樹の中で最大といわれていますが、実は小さな果実の集合体で、集合果とよばれています。この小さな果実には一個ずつの種子があり、種子の周りの黄白色の果肉(仮種皮)は多汁で甘く食用とされます。また、若い果実は野菜として利用しますし、クリのような味のする種子は煮たり、炒ったりして食用とします。さらに材も利用できる多目的有用植物です。
タイの市場で販売されるパラミツ