パナマソウは南米北西部から中米に分布する大型の草本です。茎は地中に潜って見えず、長さ1~2mの葉柄と扇状の葉身を持った葉を多数、根本から出し、ヤシの様に見えます。パナマソウが属するパナマソウ科は中南米に特産する12属200種の植物群で、種皮の構造からタコノキ科にもっとも近いと言われています。
パナマソウの花は多数の花が集まりミズバショウやタコノキのような肉穂花序を作ります。一つ一つの花は単性で、1つの雌花の周りを4つの雄花が取り囲んでいます。それぞれの雌花は雄花に隠れて外からは見えませんが、長さ20~30cmにもなる不稔の雄しべが4本ずつあり、花序から垂れ下がって外見を奇妙なものとしています。花序の表面を密に覆っている雄花はオレンジ色で、これが雄しべの隙間から見えて怪しげな雰囲気を高めています。
開く前の若い葉は収穫され、乾燥し煮る面倒な行程を経てパナマ帽の原料繊維に利用されます。パナマソウの繊維は長く丈夫なうえ、表面がつややかで美しいものです。これを手編みして作られるパナマ帽が高価なのもなんだか頷けます。