ナンキョウソウは高さ2mになるやや大形の草本です。インド東部が原産といわれ、中国南部から東南アジアで広く栽培されまた野生化しています。属名Alpiniaはイタリアの植物学者アルピーニ(Prospero Alpini 1553-1617)に因みます。また種形容語のgalangaはアラビア語のガジュツ(Curcuma zedoaria、一名「紫ウコン」)に由来します。
ナンキョウソウの花序は、茎の先端につきます。花は直径2cmほどです。ショウガ科の花は唇形でランによく似ていますが、構造はランとはかなり異なります。ランの唇弁(リップ)は花弁ですが、ショウガ科の唇弁は6個ある雄しべの内の2個が合着したものです。因みに残りの4つの雄しべですが、1つは花粉を出す完全雄蕊で筒状をしており雌しべを包み込んでいます。2つは仮雄蕊として完全雄蕊の下部両側にあります。最後の1つは退化していて見つかりません。
ショウガ科植物の多くは根茎に強い芳香があることから食用、薬用に広く利用されます。スパイスの世界で「ガランガ」や「ガランガル」と呼ぶものは、一般に「小ガランガル(lesser galangal)」を指し、これはリョウキョウ(Alpinia officinarum)のことです。ナンキョウソウは「大ガランガル(greater galangal)」と呼ばれ、小ガランガルの代用とされますが香りが劣ります。しかし、タイではトムヤムクンの材料として非常にポピュラーなものです。日本でも根茎を乾燥させたものが「タイ生姜」とかタイ語の「カー(kha、ข่า)」という呼び名で売られています。
トムヤムクン用ハーブのセット(1990年前後、タイで