昨年の3月もテコフィラエア科のキアネラ・アルバCyanella alba L.f.を紹介しましたが、今回はテコフィラエア属です。種子から育ててきたテコフィラエア・ウィオリフロラが3年をかけて花を咲かせました。
テコフィラエア・ウィオリフロラは南米チリの中央部とペルーに分布する小型の球根植物です。葉は1枚だけで長さ20㎝ほどになります。この文章を書いているのは連休明けの2月26日ですが、先週末の21日に水をやりながら観察した時には蕾を見つけられませんでした。数日で一気に花序を伸ばして開花したようなのです。もっとも、まだ咲かないと思ってそれほど熱心に観察しなかったので、見落としていたことも否定できないのですが。花序を根元から出して数輪の花をまばらにつけます。今回は初開花なので、どの株も1輪だけつけているようです。花の色は種形容語violiflora(スミレの花のような)にふさわしく、美しい水色です。キアノクロッカスT. cyanocrocus Leyb.の鮮やかな青色と比べると、落ち着いた優しい色合いに感じられます。
昨年の夏は暑さがたいへん厳しく、室内で夏越ししていたキアノクロッカスは死んでしまったようです。一方で本種ウィオリフロラは無事に夏越えして開花しました。簡単に、アッツザクラRhodohypoxis baurii (Baker) Nelくらい楽に育てられたら、春を楽しむ植物の一つになりそうです。