BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

セイヨウカリン(バラ科)

Mespilus germanica L.

セイヨウカリン

セイヨウカリンはヨーロッパ東南部から中央アジアにかけて分布する落葉低木です。高さは5mくらいになります。セイヨウカリン属は単型属(1属1種)で、属名Mespilusはmesos(中間・半分) + pilos(球)で、後述する果実の形に因みます。日本には明治初期にアメリカから導入されました。ヨーロッパからアメリカに伝わったのは1500年頃で、フランスのジェスイット教徒(イエズス会)の手によると言われています。

セイヨウカリンの枝には、枝が変形した刺があります。若い枝葉には褐色の毛があります。葉は互生し、長さ6cmくらいの長披針形で、細かな鋸歯が見られます。セイヨウカリンの花は、春先に伸びた枝の先に着きます。セイヨウカリンの花は白色で直径が5、6cmあり、一重咲きですが満開になるとよく目立ちます。果実はリンゴやナシのように萼より下の果梗が肥大します。萼が大きく残った花の跡が平らになっていて、半球のように見えることから、属名は名付けられました。果実の中には5つの核が入っています。

セイヨウカリンの果実は、ヨーロッパでは食用となりますが、日本では普及しませんでした。秋頃に熟しますが、硬くて渋くそのままでは食べられません。霜が降りるまで樹上に残すか、冷所で追熟させると柔らかくなり甘味も増して食べられるようになります。筆者はかつて、1月頃に落下するのを待って収穫し、試食したことがあります。柔らかさも味も、薄甘い干し柿のようで、あまり好ましいものではありませんでした。ヨーロッパでも果実が市販される地域はあるものの、むしろ花木や生け垣に利用される方が多いとのことです。