スキゾカプサ・プランタギネアは、タイから中国南部の多湿の森林、水田の畦( あぜ )などに見られる小型の多年草です。科名のタシロイモという名は、このタシロイモ (Tacca leontopetaloides) を最初に日本に導入した熱帯植物の権威、田代安定氏に因むものです。タシロイモは高さ 90cm の大型草本で地中に 0.9kg にもなる大きな芋 ( 塊茎 ) をもち、熱帯ではこの芋をつぶしてデンプンを取り食用とします。タシロイモは現在日本ではほとんど見ることができませんが、同じ仲間の通称「ブラックキャット」 (Tacca chantrieri) が、花の形がおもしろいことから園芸店でまれに売られています。スキゾカプサ・プランタギネアも、別名タッカ・プランタギネア (Tacca plantaginea) と言ってタシロイモやブラックキャットと同じ仲間とされることもありますが、 Flora of China によれば果実が液果になるものを Tacca 属、蒴果(さくか)になるものを Schizocapsa 属として区別するようです。
スキゾカプサ・プランタギネアの花茎は短く、葉の間に隠れて咲くのでまったく目立ちません。総苞片(そうほうへん)は 4 枚で、その上に 10 数個の花がつきます。ひげのように見える苞葉は不稔の花が変化したものです。
スキゾカプサ・プランタギネアは中国では水田七(すいでんしち)と呼ばれ、塊茎を日干しして、または新鮮なまま使用します。鎮痛作用があり、肺結核や胃潰瘍の治療に用いられる他、できもの・ただれなどや外傷による出血に外用されます。