BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

コラノキ(アオイ科)

Cola nitida (Vent.) Schott et Endl.

コラノキ


コラノキは熱帯アフリカに分布する高木です。かつてはアオギリ科(Sterculiaceae)に属していましたが、APG分類体系ではアオギリ科の全部がアオイ科(Malvaceae)に含まれました。属名Colaは現地名に由来し、種形容語nitidaは「光る、光沢のある」という意味です。同じ地域にはヒメコラノキCola acuminata (P.Beauv.) Schott et Endl.が分布します。

コラノキは高さ10m以上になります。幹は灰緑色。葉は倒卵形で革質、長さ30㎝以上に大きくなります。花は枝先や葉脇に総状花序をつけます。花弁はなく、淡黄色で目立つのは蕚です。咲き進むにつれて蕚中心部の赤みが強くなります。単性花ですが、同じ花序に雄花と雌花が着きます。雄花と雌花が同時に咲いていることが多いので、受粉を試みますが一度も結実したことはありません。残念ながら単為結果性が強いようです。ヒメコラノキもコラノキより1か月程度遅くなりますが同じような花を咲かせ、見た目には全く区別がつきません。海外の書物やインターネットで探しても外見上の違いをはっきりと書いたものは見つかりません。これまでの観察や他の植物園の温室担当者との話を総合すると、成葉の先端が尾状に1本のびるのがコラノキ、先端が浅裂し2~3本になるのがヒメコラノキです。ヒメコラノキでも3裂するのは伸びきった枝先の葉だけで、下位の葉や若い枝の葉はコラノキと変わりません。ですから、小さな苗では区別がつきません。

コラノキとヒメコラノキの種子はともに、カフェインやテオブロミンと豊富なデンプンを含み疲労回復効果があるとされます。原住民は種子を噛んで空腹を紛らせ覚醒作用を楽しみました。これら2種の種子がコーラナッツです。現代でも西アフリカでは市場で売られているほかに、東南アジアやブラジル、ハワイなどでも栽培されます。コーラナッツやコカ葉、バニラビーンズやナツメグ、レモンなどの様々なスパイスで作られるのがオリジナルのコーラ飲料ですが、市販のコーラのほとんどにはコーラナッツは入っていないようです。もちろんコカ葉も入っていません。
コラノキの葉

ヒメコラノキの葉