台湾北部の桃園 ( とうえん ) で発見された Xyris formosana という植物にトウエンソウという和名が与えられ、その名前が和科名にもなっています。今回紹介する植物はトウエンソウと同属の Xyris difformis です。本当はトウエンソウそのものを紹介したかったのですが、当館にトウエンソウがないので近縁の Xyris difformis の紹介とさせていただきます。この植物はアメリカ合衆国の東部から南東部にかけて分布 しており、州によっては絶滅危惧種に指定されています。面白いのは花序で、葉の無い花茎の頂端にほぼ球形の花序を一個つけます。その花序には硬い蕾が十数個あって、毎日一個か二個咲き続けます。写真(上)は6寸鉢で花茎は次々と最終的には十数本出ますので、二ヶ月ほど花を毎日愉しめます。ただ草丈は 25 ㎝位 あるのですが、花の直径が1㎝しかないので、可憐といえば可憐ですが園芸的には商品化の難しい植物かもしれません。
Xyris difformis の英名は Carolina yellow-eyed grass です。一般的に英語で grass といえばイネ科植物を指しますが、風媒花であるイネ科植物と違って綺麗な花をもっている Xyris difformis は明らかに虫媒花です。まあ、葉がイネ科植物に似ているので grass と呼んでいるのでしょうか。カロライナの黄色い目をした草とは、粋な名前ではありませんか。