BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

キクニガナ(キク科)

Cichorium intybus L.

キクニガナ

<軟白化された葉はチコリとして食べられ、また民間薬としても利用されてきた植物>

レタスほどには普及していませんが、白く砲弾型に結球して、独特の苦みを含んだしゃきしゃきした歯ごたえの野菜にチコリがあります。ヨーロッパではよく使われて、さまざまなドレッシングでそのまま頂くと美味ですが、そのチコリはキクニガナCichorium intybusの軟白化させた若い葉の部分にあたります。
北ヨーロッパ原産と考えられていますが、ユーラシアや北アメリカでも広く野生化しており、ヨーロッパではよく栽培されて多くの栽培品種があります。
多年生草本で、成長すると100~150cmにも伸び、春から初夏に写真のような直径4cmほどの薄青色の美しい花を咲かせます。こぼれ種でけっこう簡単に増える強い植物で、長く太い直根を伸ばしますが、根が食べられる品種もあります。
根はヨーロッパでは利尿、強壮、健胃などに民間薬として用いられて、またドイツ、フランスなどではコーヒー代用品種があり、太い根を乾燥して炒って粉末としてコーヒーの代用品あるいは混用物として用いられてきました。また、葉は鎮静効果があってお茶としても使われてきました。中国では全草を肝炎や黄疸に用いることが知られています。
全草に苦味質のエスクレチン、シコリイン、ラクツシンなどを含むほか根には多量のイヌリンを含有することが知られています。
ヨーロッパではギリシャ、ローマ時代から知られ、さまざまに利用されてきた植物ですが、日本には明治の初めごろに移入されました。