BOTANICAL

植物紹介
植物紹介

カンテンイタビ (アイギョクシ)(クワ科)

Ficus pumila L. var. awkeotsang (Makino) Corner

カンテンイタビ (アイギョクシ)

イチジクの仲間の常緑つる性木本で、台湾固有の植物です。イチジク(無花果)と同様に、花は果実のように見える「果嚢(かのう)」の内側に密生しています。したがって、外からは花を見ることができません。

カンテンイタビの和名からもわかるように、この植物の種子から寒天に似た食品を作ります。台湾では「愛玉子(オーギョーチィ)」と呼んで、ポピュラーな夏のデザートになっています。果実を裏返して乾燥した後、細かい種子を採ります。その種子を布の袋に入れて水の中で揉み出すと、30分後には水が寒天状に固まってきます。これが、愛玉子で砂糖や香料で味付けして冷やして食べます。果肉に含まれるペクチンがゼリー化すると考えられています。戦前には日本でもよく知られていて夏の清涼食品の一つだったようです。現在、ノスタルジーから、また、新しいデザート食材として注目されています。果実は甘くて生食もできます。
カンテンイタビ (アイギョクシ) の乾燥果嚢と種子 (台湾産)