<日本の山地・草原で見られる野草。全草に芳香があり健胃薬や風邪薬としても利用できる。>
カワミドリAgastache rugosaは、日本を含む東アジアの温帯から暖帯の山地や草原に生えるシソ科の多年草で、全草にハッカ様の芳香を持っています。
茎は直立して上部でよく分枝して草丈1mほどになります。葉は対生して、1~4cmほどの柄があり、先の尖った卵形で長さ5~10cmほど。葉縁には鋸歯をもっています。
花期は7月~10月頃の夏から秋で、10mm程度のうす紫色の花冠をもち雄しべが突き出していますが、この花が茎の先にたくさん集まって長さ5~15cmの穂状の花穂をつくります。
芳香を持っているのは、メチルキャビコール、アネトール、リモネンやアニスアルデヒドなどの精油成分が含まれているからですが、健胃、発汗、止嘔作用のある事が知られています。このため芳香性健胃剤、風邪薬として、食欲不振、消化不良、嘔吐、下痢や風邪などに用いることができます。
カワミドリは中国では排香草あるいは野藿香とよび、パチョリ(Pogostemon cablin)と並んで生薬「カッコウ(藿香)」の基原植物の一つとされています。一方、日本では「カッコウ」の基原植物は「パチョリ」一つであることが日本薬局方で規定されています。